本記事について
本記事では、Fortinet 社のファイアウォール製品である FortiGate について、HA 構成時のバックアップ及びリストアの実施方法と動作仕様について説明します。
動作確認環境
本記事の内容は以下の機器にて動作確認を行った結果に基づいて作成されています。
- FortiGate-60F
- バージョン 7.4.3
FortiGate HA 構成でのバックアップとリストア
FortiGate で以下図のように HA を構成している場合を考えます。
この場合、FortiGate のコンフィグバックアップ及びリストアをどのように行えば良いのかについて説明します。
HA 構成時のコンフィグバックアップ方法
HA 構成時のコンフィグバックアップのためには、プライマリ機とセカンダリ機のそれぞれでコンフィグのバックアップを行ってください。
プライマリ機とセカンダリ機ではコンフィグの同期が行われていますが、同期の対象外となるコンフィグもあるため、それぞれでのバックアップが必要となります。
バックアップの方法はシングル構成の場合と同様です。詳しい方法はこちらの記事を参照してください。
なお、セカンダリ機の GUI にアクセスするためにはセカンダリ機の管理インターフェース宛に接続を行います。
HA 構成中に実施するリストアの動作仕様【要注意】
HA 構成時でもリストア自体の実施方法はシングル構成の場合と同じです。詳しい方法はこちらの記事を参照してください。
ただし、HA 構成中にリストアを実施するとプライマリ機とセカンダリ機の両方が同時にリストアされるため注意してください。
以下は、HA のプライマリ機でリストアを実行したときのセカンダリ機のコンソールログです。
Get config file from ha primary OK.
Check config file OK.
System is rebooting...
The system is going down NOW !!
Please stand by while rebooting the system.
Restarting system.
FortiGate-60F (20:56-03.17.2023)
Ver:05000030
Serial number: FGT60FTKxxxxxxxx
CPU: 1200MHz
Total RAM: 2 GB
Initializing boot device...
Initializing MAC... NP6XLITE#0
Please wait for OS to boot, or press any key to display configuration menu......
Booting OS...
Initializing firewall...
System is starting...
FortiGate-60F-02 login:
ログの 1-4 行目でプライマリ機からコンフィグファイルを受け取り再起動が発生していることが分かります。
この逆に、セカンダリ機でリストアをした場合でもプライマリ機側ではセカンダリ機からコンフィグファイルを受け取り再起動が発生します。
このため、HA 構成中では片方の機器のみリストアすることはできず、片方の機器でリストアを実行すると2台の機器で同時にリストアが発生します。
機器交換で片系のみリストアし HA を再構成する場合の注意点
機器故障により機器交換する場合など、HA を構成する片機器のみを HA クラスタから切り離された状態でリストアし、その後 HA 構成に戻すことを考えます。
この場合論点になるのは、リストア後、HA を再構成したときにコンフィグがどうなるのかということです。
オーバーライドが有効な場合のプライマリ機の保守交換時は要注意
オーバーライドが有効な HA クラスタを考えます。ある時点②で両機器のバックアップを取得していて、時点③でプライマリ機が故障しました。その後時点④に至るまでにセカンダリ機のみの片系運用をしていてその間設定変更を実施しました。時点⑤で交換機が用意できたため、時点②のプライマリ機のバックアップを使用してリストアを行い、ネットワークに組み込みセカンダリ機と HA を構成しました。
HA 構成後の時点⑥でのコンフィグはどうなるかというと、新たに HA を構成したときに両機器間でコンフィグに差分がある場合プライマリ機のコンフィグが優先されるため、セカンダリ機のコンフィグは時点②のコンフィグに戻ってしまいます。
このようにコンフィグが巻き戻ってしまうことを回避する方法としては以下が考えられます。
- プライマリ機でリストア後、コンフィグ差分を反映させてから HA を構成する
- オーバーライドを無効化してから HA を構成し、コンフィグ同期後にオーバーライドを有効化する
- プライマリ機のプライオリティを下げてから HA を構成し、コンフィグ同期後にプライオリティを戻す
機器の保守交換をする際の手順を作成する際にはこの点注意してください。
以上です。
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